楽しみながら、環境にいいものを取り入れる。a.o.e organic cosmeticsが追求するオーガニックの本質
有機栽培された植物からつくられた成分を原料とするオーガニックコスメ。
生産過程を見直し、環境への負担を軽減するのが特徴です。オーガニックコスメブランド「a.o.e organic cosmetic」を運営する株式会社WAVE STYLE代表の浪形誠彦さんは、楽しみながら環境にいいものが選べるよう、オーガニックコスメを身近にし、それをかっこいいことにしたいと話す。自ら原料の開発や研究も行う浪形さんが目指す、「オーガニックコスメ」とは。「ブーストフェイシャルウォッシュ」の使い方もレクチャーしてもらいました。
ー オーガニックに注目した理由を教えてください。
2012年にオーガニックコットンのブランドとして株式会社WAVE STYLEを設立し、上海とロサンゼルスで展開していました。
僕自身が年齢を重ねて、体をキープするために筋トレをしていたときに、スポーツウェアで使われるポリエステルよりも、肌に触れる綿のやさしさに気づいたんです。せっかく綿でアパレルをつくるならこだわりたい、とオーガニックに着目しました。また、アパレル企業にいたときに、バックヤードで山積みになった廃棄されるビニールの量が気になっていたんです。直接的ではありませんが、余分なものはできるだけなくして、少しでも環境にいいものを取り入れたい、という想いからオーガニックに関心を持ちました。
ー オーガニックコットンのブランドとして立ち上げたところから、どのような経緯でコスメやスキンケアを扱うようになったのでしょうか?
海外では、「ビーチヨガ」や「パークヨガ」といった外でヨガをする機会が多い。そんなときに、タウンウェアとしても、アクティブウェアとしても着用できるような、「アーバンアクティブ」をテーマとしたブランドを運営していました。実際のライフスタイルを考えてみたところ、体を動かすと汗のにおいが気になってくると思いますが、屋外だと着替える場所がありません。フレグランスやエッセンシャルオイルの資格を持っていたので、その流れでボディミストをつくったのがコスメやスキンケア製品を扱いはじめたきっかけです。
ー 本格的にはじめるために、日本へ帰国されました。海外でビジネスをされていた浪形さんは、当時の日本におけるオーガニックの市場を、どのように見ていましたか?
海外では、手軽に買える製品が多かったのですが、日本ではほとんどが高価格帯で、デイリーユースを想定されていないことに驚きました。エコの観点でケミカルなものを人と環境にやさしいものに変えていくことがオーガニックの大義であるのにも関わらず、一部のハイエンドな層にしか届いていない。誕生日で贈り合うような、「非日常的でおしゃれなもの」として扱われていました。
日常に落とし込むには、価格帯の見直しが必要。手間暇かけて抽出されるナチュラルな成分は原材料の価格が高く、そこへさらに広告費が上乗せされて相対的に値段が上がってしまいます。そこで僕たちは、品質を保ったまま広告費を使わないことで、市場価格の3分の1の価格を実現しました。「絶対にオーガニックを使わなければならない」と押しつけたいのではなく、「少しでも環境や人にとって良いことにつながるなら、それを選ぶ方がかっこいいよね」というのが僕たちのスタンスです。
ー a.o.e organic cosmeticsについて教えてください。
a.o.eオーガニックは、「年齢性の乾燥肌・敏感肌用スキンケア」と定義づけています。
ブランドを立ち上げた当初は、敏感肌や乾燥肌に向けたオーガニック製品は、ありませんでした。化粧品には、水と油をつなげる乳化剤の役割を持つ石油由来の界面活性剤が含まれています。唯一ナチュラルな成分で、界面活性剤と同じ役割を果たせるのがエタノール。ただし、エタノールは70%以上の高濃度アルコールなので、敏感肌や乾燥肌の刺激になってしまうんです。
僕たちは製品開発と並行してアルコールの研究を行い、「オーガニックではじめての乾燥肌用」として、2016年からa.o.eオーガニックをスタートしました。化粧水や美容液で保湿するのではなく、その前段階にある肌の古角質を清浄し、肌の肌理(きめ)を整えて引き締めていく、新しい発想です。
ー 今回のLaboMe®︎は、「ブーストフェイシャルウォッシュ」が届けられました。洗顔で乾燥肌にアプローチする仕組みを教えてください。
「洗顔」として販売していますが、メインはピーリングです。基底層から生まれる新しい細胞が古い角層を押し出し、最終的に垢となって剥がれるサイクルをターンオーバーと言い、この一連が自然に流れているのが理想的な肌の状態です。ホルモンの問題でターンオーバーが乱れてしまうと、「角質肥厚」と言って角層が溜まって固くなってしまいます。
洗顔のあとにせっかくいいスキンケアを使っていても、固い部分には吸収されずに流れてしまう。ピーリングで固くなった角層をオフすることで吸収率を上げ、化粧水が浸透しやすくなります。
ー 一般的なピーリングとの違いはありますか?
「ブーストフェイシャルウォッシュ」は、ハーブピーリングと呼ばれるもので、天然成分を肌に浸透させます。即効性で言えば、オーガニックよりも強い薬剤が使われているケミカルピーリングの方が早く効果が出ると思います。ただ、ケミカルピーリングだと活きた肌も悪い肌も一緒に除去されてしまいます。その為に、本来健康な肌を強制的に剥ぎ取ろうとして、赤みが出たり、ダウンタイムが生じてしまいます。
「ブーストフェイシャルウォッシュ」は、肌の固くなった部分だけに反応するのが特徴です。しばらく置くことで化粧水の浸透性を高めてくれるので、20分以上置くことがおすすめです。水を含ませて、100円ショップなどで手軽に買える泡立てグッズを使うと、もちもちとした泡が完成。顔の上にのせてからしばらく放置しても泡がへたらないので、そのまま湯船に浸かったり、髪を洗ったりしてもいいと思います。
ー 浪形さんが考える、女性のゆらぎと向き合う方法はどのようなものですか?
ゆらぎがあるのは当然のことなので、抗うのではなく、笑っちゃうくらい楽しんでいけたらいいと思います。ゆらぎを抑え込んでしまうと周りの人にも認識されず、不安な気持ちが大きくなってしまいかねません。20代、30代、40代と年齢によってそれぞれのゆらぎがあると思いますが、今は「どうやったら前を向けるのかな」と、年代ごとのゆらぎを楽しめる世の中になりつつあるはずです。みんながゆらぎに対してオープンになって、前向きに捉えられる社会になればいいな、と思います。
ー 今日浪形さんのお話を聞いて、「オーガニック」という言葉の持つイメージが変わりました。
わたしたちらしいライフスタイルを楽しみながら、次世代に良い未来を残したい。今の自分たちにできる「いいとこ取り」はどんどんしていきたいですね。わたしたちのつくったものが日常になじんでいき、「いつも使っているものが実は環境にいいものだった」という心地よさを感じてもらえると嬉しいです。