秋こそへアケアを!ヘアテック起業家&毛髪診断士 鈴木葉留奈さんに聞く「美髪セルフへアケア」
紫外線やエアコンによる冷えや乾燥など、夏に受けたダメージの影響で秋の髪は「ゆらぎ」の状態。ダメージが現れやすい秋こそへアケアを!ということで、今回は自宅でできる簡単へアケア方法を、ヘアテック起業家&毛髪診断士の鈴木葉留奈さんに教えていただきました。
ふんわり長い髪がトレードマークの葉留奈さんですが、実は以前、円形脱毛症に悩んだことがあったそう。自身が経験したからこそ伝えたい「コンプレックス解消ではなく、毎日がちょっと楽しくなるヘアケア」とは?
ー 毛髪診断サービスを始めたきっかけ
もともとはシャンプーメーカーの研究開発者で、美容サロン専売品を開発する会社に勤めていました。シャンプーやトリートメント、パーマ剤などを作っていたので365日、頭皮や髪について考える日々だったんですが、入社2年目で私自身が円形脱毛症になってしまって。頭皮のプロである自分が・・・・・・とショックでしたね。でも当時は病院へ行くくらいしか改善策がなくて、頭皮の悩みやケア方法について相談できる場所がないことに気づいたんです。
そこで一念発起し、頭皮と髪のオンライン診断ができるサイト「Faview(ファビュー)」を立ち上げました。自分の現状を知ること自体がケアや予防医療の一歩になると思うので、髪にお悩みの方はぜひ活用してみてください。
ー 秋こそ頭皮ケアが大事な理由とは?
例えば肌が日焼けしたらフェイスパックをしたりクリームを足したりと、みなさん早々にケアしますよね。でも頭皮や髪は反応がわかりにくい分、肌ほど手厚くケアされない方がほとんどではないでしょうか。
夏の紫外線、冷房による乾燥、汗、海水などさまざまなダメージを受けて、頭皮も肌と同じようにデリケートになっています。さらに、秋から冬にかけて気温がぐっと下がることで、弱ったところに追い打ちをかける状態に。冬は頭皮と髪が乾燥して、内部の水分保持機能が弱まりますから、それがパサつき、フケ、うねり、広がりなどの原因になってしまいます。夏のダメージを秋冬に持ち越さないよう、秋のうちにしっかり頭皮ケアしておくことが大切です。
ー 秋の抜け毛は通常の1.5倍~2倍!
また、秋は抜け毛が多くなる季節。通常髪は1日に50~100本ほど抜けると言われていますが、秋は1日150~200本ほど抜けるとも。とはいえこれは「生え変わり」のタイミングなので、そこまで気にする必要はありません。
髪はしかるべきときに抜けてきちんと生え変わることが大切なので、毛が抜けること自体が悪いわけではないんです。抜け毛の多さに驚いてストレスに感じてしまうことの方がよくないので、「秋は抜け毛が増える」という事実を知っておいて、心の準備をしておくことが大事。ただし、自然な抜け毛であれば問題ありませんが、髪が薄くなってきたと感じるほどであれば、本来の生え変わり以外の問題も考えられますので、専門家に相談するなど対策を取りましょう。
ー 秋の簡単ホームへアケア!3つのポイント
髪のダメージを回復したい秋、おうちでできる簡単へアケアをご紹介します。
1つめは、「頭皮エッセンスを習慣にする」こと。夏のダメージを受けて頭皮は乾燥したり、炎症を起こしている場合もあります。洗顔後に化粧水をつけるように、顔の延長上にある頭皮もしっかりケアしてあげましょう。頭皮エッセンスはまだまだ種類が少ないと感じますが、なければ化粧水を薄めて使ってもOKです。気負わず、できることから始めてみてください。
2つめは、ちょっとスペシャルなトリートメント方法。「トリートメントにオイルをプラスする」だけでサロンでケアしたかのような仕上がりになります。オイルは肌用か髪用の純度の高いものを、なければオリーブオイルで代用してもかまいません。トリートメント5に対してオイル1を目安に混ぜたら、頭皮にはつけないよう、髪にしっかり浸透させます。オイルが重いなと感じる場合は、量を調整したり、ミルクエッセンスに変えてみてください。楽しみながら自分の髪に合う割合を探ってみましょう。
3つめは、タオルドライの方法です。よく、ドライヤーのかけ方や製品について聞かれるのですが、私が声を大にして言いたいのは、「その前のタオルドライを見直して」ということ。もし、お使いのタオルが半年ほど経ったものであればすぐに交換を(笑)。濡れた髪はいちばん傷みやすい状態、というのはみなさんご存知だと思いますが、タオルに気をつかってない方は意外と多いんです。髪を洗った後は、柔らかなタオルでぽんぽんと水気をタオルに移す感覚で。堅く毛羽立ったタオルでゴシゴシするのはもっての他です!
ー 3つの材料で作る秋のツヤ髪レシピ
お肌と同じように、髪に大きく影響を及ぼすのが食事です。夏バテでしっかり食事が摂れなかった方も、「食欲の秋」といわれる今こそ、栄養たっぷりの食事で髪のハリツヤを取り戻しましょう。髪のために摂りたい栄養素は、タンパク質、亜鉛、鉄分、ビタミン群、大豆イソフラボンなどが挙げられますが、ここで簡単に作れる秋レシピをご紹介。
用意するのは鮭、玉葱、ズッキーニの3つ。アルミホイルに鮭を置き、適度な大きさに切った野菜を入れて蒸し焼きにします。塩コショウで味付けしたら、オリーブオイルを回しかけて完成。アボカドスライスを添えればさらに髪が喜ぶ食事になりますよ。デザートには、ヨーグルトに黒ゴマときな粉をトッピングして、タンパク質、鉄分、大豆イソフラボンを補給。過剰な糖分や酸化した油などは極力控え、良質な油、たんぱく質などをしっかり摂ることを心がけてください。
ー 心が潤う推し活で女性ホルモンを整える
女性ホルモンは女性の美と健康に大きな影響を及ぼしますが、髪も例外ではありません。女性ホルモンのバランスが崩れると、へアサイクルが乱れて抜け毛が増えてしまいますので、健康的な食生活、規則正しい生活を送ってストレスを溜めないようにしましょう・・・・・・とはいえ現代人にとってストレスを溜めないというのは難しいので、上手に発散していくのが大事。
スポーツでも趣味でも、LaboMe®のようなコミュニティに入る、など何でも良いのですが、私は個人的に「推しを作る」ことをオススメしています(笑)。セルフケアを自分のためだけにやっていると疲れてしまいますが、「推し活イベント」など何か目標があって自分磨きをしている時間はウキウキします。また、何かに「ときめく」ことは、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌を促すと言われていますから、自然とホルモンバランスも整ってくるのだと思います。推し活っていいことだらけだと思いませんか?(笑)
ー 間違いだらけのへアケア「コレはNG」!
夜は面倒なのでシャンプーは朝派 ×
「夏場は汗をかくので夜にシャンプーするけど、秋冬は朝シャン派」になってしまう方もチラホラ。でもこれは絶対にNGです。頭皮に付着した1日の汚れが酸化して毛穴が油詰まりを起こしますし、成長ホルモンは夜に出るので、毛穴に汚れがあると正常なターンオーバーができません。季節に関係なく、寝る前にしっかり汚れを落としましょう。
シャンプー剤で髪先までしっかり洗う ×
正しい洗髪の仕方は、まずは乾いた状態で、粗めのブラシで髪を梳かしてホコリなどの汚れを落とします。その後お湯でしっかり予洗いしたら、手のひらで泡立てたシャンプーで頭皮を洗います。このとき髪の毛までこすり擦り合わせて洗う方がいますが、これはNG。スタイリング剤は頭皮を流すときにシャンプーと一緒に流れ落ちますので、頭皮だけを洗うようにしてください。
ヘッドブラシで頭皮に強い刺激を与える ×
シャンプー時に指で頭皮をマッサージするのもオススメです。シリコンヘッドブラシも人気ですが、指の代わりとして頭皮にポンポンと当てる程度で充分刺激がありますので、柔らかいからといってゴシゴシこすってしまうのはダメ。思っている以上に頭皮を傷つけてしまいます。
髪が長いので寝るときは縛る ×
髪にとって摩擦は大敵なので、寝るときに髪を縛って圧をかけるのも実はよくありません。私は髪を下ろして寝ていますが、ポイントは髪ができるだけこすれない状態であること。寝返りなどで髪が絡まるのが気になる方は、シルクのナイトキャップやシルクの枕カバーなどを活用するのがオススメです。
ー これからは自分を褒めるセルフケアを
先日、経産省のプログラムに採択いただいてスタートアップの海外派遣でアメリカに行っていたのですが、ロサンゼルスでは「リジェネラティブ」=「環境再生」という言葉をよく耳にしました。それは、自然環境をより良い状態に再生しようという考えなのですが、サステナブルが「環境に与える悪影響をゼロにする」としたら、リジェネラティブはサステナブルを超えてむしろ環境を回復させるような、ゼロからプラスに変えようという動きです。日本でも今後、こういった取り組みが注目されそうですね。
何事もそうだと思いますが、へアケアだって何かを犠牲にしたり、自分に無理を強いては続きません。美容に関してはまだまだ、コンプレックスが先にきてしまい、劇的な変化を求めるあまり理想と現実のギャップに疲れてしまったり、自己嫌悪に陥ってしまう女性が多いと感じます。私が円形脱毛症になったときも、鏡を見るたびに落ち込んでそれがまた悪循環になりました。
そこで発想を転換して、へアケアをがんばっている自分はスゴイ!と毎日自分を褒めまくっていたら、自己暗示にかかったのか(笑)どんどん改善されていったんです。髪が抜けないように、白髪にならないようにとネガティブな視点でケアをするのは、とても疲れてしまいます。
今日きちんとシャンプーできた自分はエライ!美容室に行くなんて意識が高い!と、ぜひ自分を褒める習慣をつけてください。褒めれば褒めるほど自信がつきますし、その小さな積み重ねが楽しくセルフケアを続ける秘訣だと思っています。