生理前のニキビ・肌荒れの正しいケアとは?皮膚科医の小林先生に聞いてみた

生理前のニキビ・肌荒れの正しいケアとは?皮膚科医の小林先生に聞いてみた

生理前に肌の変化を感じる人はいますか?ニキビができたり、毛穴が目立っていたり... 生理前は気分も落ち込みやすいのに、さらにお肌まで荒れていたらテンションも下がってしまいますよね。

今回はそんな生理前の肌悩みを、皮膚科医の小林智子先生に相談してみました。

YouTubeをはじめSNSで美肌メソッドを発信されている小林先生ですが、オンラインインタビューの画面越しでも伝わる美しいお肌!

小林先生ご自身が実践されている美容方法についても、たっぷりと教えていただきました。

小林先生プロフィール

生理前のニキビはなぜできる?ポイントは皮脂!

鳥巣:
小林先生!生理前に必ずと言っていいほどニキビができてしまうのですが.....生理前ってなぜこんなに肌の状態が悪くなるんですか?

小林先生:
生理前のニキビはホルモンバランスが影響しています。生理前はプロゲステロンと呼ばれるホルモンが多く分泌されるのですが、このプロゲステロンが皮脂を多くする作用があるんです。皮脂が多くなると毛穴が詰まってしまって、ニキビができやすくなってしまいます。

鳥巣:
ホルモンの影響で皮脂が増えるのが原因だったんですね。

小林先生:
生理前のホルモンバランスの乱れによるニキビは特徴があって「Uゾーン」と呼ばれる場所にできやすくなります。口の周囲やほほから顎にかけてのフェイスラインです。

鳥巣:
たしかに!言われてみると、毎回その辺りにできているなと思いました。通常のニキビはまた違うんですか?

小林先生:
他だとおでこから鼻、顎といったTゾーンは思春期ニキビに多いですね。最近はマスクの着用によって、口周りのOゾーンにニキビで悩んでいる人も増えました。

鳥巣:
マスクによるニキビもすごく心当たりがあります。

小林先生:
マスクの中の温度が上がることで皮脂の分泌量が増えてしまいますからね。マスクに加えてメイクをしているとさらに要注意です。メイクの成分が油分なので、さらに皮脂が増えてしまうので......

鳥巣:
ホルモンバランスだけでなく、日常でもニキビができる要因ってたくさんあるんですね。

小林先生:
生理周期に関わらずニキビができる原因は毛穴のつまりです。皮脂が毛穴つまりを起こすだけでなく、肌のターンオーバーが乱れて毛穴がふさがってしまっているケースや、肌が乾燥してインナードライという状態になり、皮脂がうまく排泄できず固まってしまうケースもあります。これらを防ぐことが、ニキビケアのポイントです。

急にできてしまったニキビ、どうしたらいい?

鳥巣:
ニキビって自分で潰したらダメだと聞いたことがあるんですが、本当なんでしょうか?ダメだとはわかっているのですが、やっぱり気になって触ってしまうんです......

小林先生:
そうですね。生理前のニキビもそれ以外も関わらず、皮膚科での治療が1番です。間違ったケアで長引かないよう、できるだけ早く完治させることで、痕にも残りづらくなりますよ。

鳥巣:
ニキビで皮膚科にいくのも正直、なんだかハードルが高くって......

小林先生:
ニキビで皮膚科を受診する人は10人に1人だと言われているくらい少ないので、お気持ちはよくわかります。ただ、皮膚科でのニキビ治療は保険適用なので、一番お得かつ安全に治療できるという点も知っていただきたいです。もし痕が残ってしまったら、美容医療のレーザーなどで消すことになるのですが、保険適用外の治療でお金もかかってしまいます。

鳥巣:
痕が残ってしまった時のことを考えると、なおさら早めに安全な治療をしていた方がいいんですね。ちなみに、うっかり自分で潰してしまったときの応急処置はどうすればいいんですか?薬局で買える薬でもなんとかなりますか?

小林先生:
赤ニキビであれば抗生剤の塗り薬が効果あると思います。潰さないようにするためには、ニキビパッチがおすすめです。薬のような治療効果はないですが、摩擦を軽減してくれるので、マスクなどでニキビが擦れてしまうのを防いでくれます。

鳥巣:
市販でも最低限のケアはできるけど、やはり病院の治療が早いんですね。次からニキビは皮膚科に行ってみようと思います。

気をつけよう!生理前の肌ケアの注意点

鳥巣:
生理前は皮脂が多くなるとのことでしたが、気を付けるべきケアはありますか?

小林先生:
生理前は油分が過剰になることを避けるために、肌に使用するアイテムの数を減らすことをおすすめします。基礎化粧品のクリームや乳液も油分が含まれていますので、そもそもの肌の油分が増える時期につけすぎると、スキンケアのつもりでも肌荒れの原因になりやすいです。

鳥巣:
肌荒れしないために、たくさん塗っておこうというのは逆効果だったんですね。

小林先生:
メイクでも油分が過剰にならないよう気をつけてみて。私も生理前はリキッドファンデーションでなくパウダーファンデーションを使うことも多いです。さらに洗顔で皮脂をしっかり落とすのも大切。最近は、朝の洗顔をぬるま湯で行うことが流行っていますが、生理前に皮脂が多いと感じる人は洗顔料を使ってしっかり洗顔することをおすすめしています。

あとは、生理前に新しい化粧品に挑戦するのもリスクが高くなると思います。新しいメイクやスキンケアを取り入れるなら、生理後の時期がおすすめです。

鳥巣:
肌荒れする前に焦っていろいろ試してみたくなりますが、一旦は引き算した方がいいんですね。先生、ところで生理前のニキビや肌荒れを早く治すにはどうしたらいいですか?

小林先生:
ホルモンバランスの乱れによる肌荒れは治りにくくはあるのですが、そこを生活習慣の改善でフォローできればと思います。生理前は外食を控えて糖質や脂質が高い食事を減らしたり、よく寝るように心がけたりすることも関わってきます。

小林先生おすすめ「肌にいい食事」

まとめ

  • 食物繊維をとること
  • 砂糖や小麦を控え、赤身のお肉よりもお魚や鶏肉をとること
  • ビタミンB群、ビタミンCを積極的にとること

小林先生:
食物繊維をたくさん食べることを意識しています。キノコ類やめかぶ・ワカメなどの海藻類、豆類です。まだ​​詳細はわかっていない部分もありますが、食物繊維がニキビなどの肌の状態に影響する可能性についてはこれまでの論文でもいくつか報告されていますので、やっておいて損はありません。私は旅行にいったときでも、乾燥ワカメをスープに入れたりしていますよ。

鳥巣:
そうなのですね!乾燥ワカメならやれそうだと安心しました。普段料理をあまりしないので、食物繊維を積極的にとるのは難しいのかもしれないと思ってしまいまして(笑)

小林先生:
お豆だったら、スーパーにもよくある缶詰やパウチの豆でもいいと思いますよ。身近にあるもので少しずつ取り入れられたらいいですね。あとは、体の中での炎症が起きづらくする食材選びも大切です。

小林先生:
具体的には血糖値が急激にあがりやすく、糖化しやすい食材ですね。砂糖や精製された小麦やお米、赤身のお肉は炎症が強くなると言われています。これがニキビの原因にもなってしまうと考えられています。赤身のお肉よりも魚や豚肉、鶏肉がいいと思います。

鳥巣:
なるほど、何かをプラスで摂取するというよりも「何を食べないか」も大切なんですね。

小林先生:
肌にいい栄養をプラスするのであれば、ビタミンB群ですね。外食が続くと、脂質とタンパク質の代謝に関わるビタミンB2やビタミンB6が不足しがちになってしまいます。豚肉や魚、レバーなどに多く含まれています。抗酸化作用が高いビタミンCも、紫外線ダメージなどを防ぐ効果があり、肌にいい栄養素で有名です。

鳥巣:
ビタミンCはどんな食材でとっていますか?

小林先生:
果物やブロッコリー、パプリカなどの緑黄色野菜をよく食べています。実はコンビニにもある冷凍ベリーもおすすめです。アイス代わりによくそのまま食べています(笑)

鳥巣:
美と健康のプロである先生も、そういった身近なものを食べてらっしゃるんですね!親近感が持てて嬉しいです(笑)

小林先生:
私も焼肉やケーキを食べに行ったりすると、翌日に便秘になることもあります。食事ってずっとヘルシーなものを意識するのは難しいですが、ダメな日があってもその後で改善できればいいのかなと思っているんです。

小林先生のおすすめ!かんたん美肌レシピ

オートミール:スペシャルTKO(卵かけオートミール)

ポイント:ニキビ予防におすすめの食材の一つがオートミール。白米と比べて血糖値が上がりにくく、食物繊維も豊富です。トッピングにも食物繊維をプラスして。

材料:

(1人前)

・オートミール50g

・温泉卵 1

・納豆 1パック

・めかぶ 1パック

・なめたけ 10g程度

 

作り方:

  • オートミールに水(分量外)80mlを加えて電子レンジで500Wにて1分半かける
  • 軽く混ぜて、そのほかの具材を上に乗せる
  • 最後に醤油を適量たらし、えごま油小さじ2程度かける
  • 完成

 

 

チアシードのプリン: チョコレートチャイチアシードプリン

 ポイント:甘いものが食べたくなった時におすすめのスイーツ。チアシードは食物繊維やオメガ3が豊富で腸内ケアにおすすめの食材です。 プチプチとした食感も満腹感を高めてくれます。作り方も材料を混ぜるだけで簡単です。

材料:

(4人前)

・チャイティーパック 3パックをお湯150〜200mlで蒸らす

・ココナッツミルク 1/2缶(200〜250ml)

・メープルシロップ 大3

・ココアパウダー 大4

・バニラエッセンス 適量

・チアシード 80g

 

 

作り方:

  • チアシード以外の材料を混ぜる
  • だまなく混ざったらチアシードを加え、さらに混ぜる
  • 冷蔵庫で1〜2時間寝かせる
  • 完成

 

頑張りすぎる女性こそ、遠慮なくクリニックを頼ってほしい

小林先生:
頑張る女性こそ忙しくて、生活習慣が乱れてしまったり、ニキビができても病院にいく時間が取れなかったりしますよね。でも安全で正しい治療と、これまでの生活習慣を見直すためにも、セルフケアと併用して、気軽に通える皮膚科に出会えればいいなと思っています。

 

皮膚科の先生というと、美肌を保つために美容医療などをご自身で実践されている印象を持っていましたが、

小林先生は、生活習慣や日頃のセルフケアで美肌を保つことを特に大切にされているとのこと。

心も体もヘルシーな秘訣はこういった自分のあり方をしっかりと持てることなのかなと思いました。小林先生、ありがとうございました!

監修者情報

皮膚科医

小林 智子

皮膚科専門医。医学博士。
アンチエイジングリサーチセンター研究員。
皮膚科医として診察を行いながら、正しいスキンケア方法や薬の使い方などSNSにて発信し、YouTube登録者数 は3.6万人を越える。プライベートでは三児の母。

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皮膚科専門医。医学博士。
アンチエイジングリサーチセンター研究員。
皮膚科医として診察を行いながら、正しいスキンケア方法や薬の使い方などSNSにて発信し、YouTube登録者数 は3.6万人を越える。プライベートでは三児の母。

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