正しい知識でキレイな体づくり 鳥巣愛佳さん/ボディメイクトレーナー
巷にあふれるさまざまなダイエット法を試しては、体重計に乗ってため息。そんな悩める女性たちに今回お届けしたいのは「山盛り食べて痩せる人を続出させる」との異名を持つボディメイクサロンVIAS代表、鳥巣愛佳さんのダイエット論。ボディビル競技(BIKINI)の選手として自身の体を実験台にしながら、ダイエットのノウハウを培ってきたという鳥巣トレーナー。たくさん食べないとキレイに痩せない!という体づくりの極意を教えていただきました。
ー 食べないダイエット、間違ってます!
ダイエットというと「カロリーを制限した食事をして、運動を頑張れば痩せる」と思っている方が、とても多いと思います。実際に一般的なダイエット方法として、食事を我慢してたくさん動くようにという間違った情報で溢れています。そのようなダイエットをしてしまうと、肌や爪がボロボロになってしまうだけではなく、代謝が下がってしまい、リバウンドしてしまったり、どんなに頑張っても痩せない体になる可能性が高いです。キレイになるためにダイエットをしているつもりが、間違った痩せ方をしてしまっては本末転倒です。しかし正しい痩せ方を知らない方が大半だと私は思います。
実際にボディビル競技をしている人たちでも、食事を極端に減らして有酸素運動に時間を多く費やすような減量をしている人がほとんどです。その結果、女性は生理が止まってしまったり、筋トレをしてつけた筋肉が枯渇して痩せ細ったり、大会後は爆食してあっという間にリバウンド......などという不健康な状態が当たり前のような風潮があります。筋肉を残して美しく魅せることが必要なコンテスト選手でさえも、間違った知識のもとダイエットを行っている人が多い現状です。
世の中に溢れているダイエットやボディメイクの何が正しくて、何が間違っているのか、ぜひこの記事を読んで、考えるきっかけにしていただけると嬉しいです。
ー 食べないと痩せない!その理由は?
痩せるためには代謝を上げましょう!といわれますが、多くの人が運動して筋肉を動かすことをイメージされると思います。しかし運動で基礎代謝はたいして上がりません。むしろ有酸素運動を行いすぎると、代謝が下がってしまうケースもあります。それではどうしたらいいの?と思うでしょうが、基礎代謝の約半分を占めているのは内臓代謝です。「痩せるために代謝を上げましょう」の正しい答えは、きちんと食べて内臓を動かすことを指します。
私が食事指導をしているお客様のほとんどが「こんなに食べるの?」と驚かれています。脂肪がつきにくい食事ができていれば、苦しいくらいの量を食べても太りませんし、むしろ気がついたらいつの間にか痩せていくのです。運動やトレーニングの強要もしません。しっかり食べるからこそストレスが少ないですし、代謝を高く保てることで、筋肉をできるだけ残してキレイに痩せることができます。
例えば、極限まで体を絞る競技者の私の減量食はスタート時が2500kcal、大会直前でさえも1600kcalほど摂っています。一般の30代女性が食べている食事の平均の量よりも、多いことがわかるかと思います。お酒もコンテスト直前まで飲んでいることもありますし、外食も我慢しません。私が行っているストレスフリーなダイエット方法を、ダイエットをしている一般の方にも知っていただきたいという思いから、私はボディメイクの活動をしています。
ー 痩せるための正しい食事方法
痩せるための食事の一番のポイントは、脂質と糖質を一緒に摂らないことです。例えば、カレーライスやケーキ、ハンバーガーなどは脂質と糖質の組み合わせですよね。脂質と糖質を一緒に摂ることが、脂肪が蓄積される1番の理由です。逆をいえば、脂質か糖質のどちらかを削ることで、太る要素は限りなく低くなります。ここで間違ってはいけないのが、脂質と糖質の両方を減らしてしまうことです。よく鶏胸肉やブロッコリーがダイエットにいいと言っている人を見かけたことはありませんか?これでは体を燃焼させるためのエネルギー源がなく、代謝が下がり筋肉が枯渇してしまう、間違ったダイエットの食事方法となります。
人間の体は脂質もしくは糖質のどちらかがエネルギーになるため、両方を削ることはオススメできません。
ここで私の減量期の1日の食事(糖質を抑えた事例)をご紹介しましょう。
朝食
バターコーヒー
チーズ入りスクランブルエッグ(卵2つ)
アボカド(1/2個)
マヨネーズ(大さじ1杯)
間食
アーモンド、くるみ(20粒)
チーズ(3P)
昼食
チーズ乗せサーロインステーキ(150g)
夕食
刺身盛り(8切れ)
焼き鶏 とりもも(2本)
焼き鶏 豚バラ(2本)
ハイボール3杯
総カロリー 2650kcal
想像以上に食べていると感じる方は多いのではないでしょうか。またこれとは逆に脂質を限りなく抑えて、糖質とタンパク質のみの食事方法を行うこともあります。体の状況を見ながら臨機応変に食事方法は変動させますが、いずれもしっかりカロリー摂取をすることは変わりません。
そのため、ダイエットの最中に肌や髪の調子が悪くなったり、生理が止まったりするなどもないのです。
ー 筋トレはカロリー消費でなく、引き締めボディのために
上記でも紹介した通り、筋トレの消費カロリーはたいして高くありません。カロリーの消費を目的に行うのではなく、血流を良くしたり、筋肉を引き締める(引き締めることにより見た目は細く見えます)ために行うのが良いと思います。ここでは、家やオフィスでできる簡単なエクササイズをご紹介します。
肩甲骨周りの筋肉をほぐす
- 姿勢をまっすぐにして座った状態から、手のひらを前に向けて腕を伸ばす。
- 手のひらを後ろに向けながら腕を外側に10回まわす。このとき肩甲骨を意識する。
脚痩せとヒップアップを目指す
- まっすぐ立った状態から片足をサイドに開き、足裏をもう片方の膝につける。
- そのまま後ろへ30度傾ける。このとき太もものつけ根を意識しながら、 お尻をキュッと締める感覚で。左右10回づつ丁寧に繰り返す。
ー 体重計に乗って一喜一憂しない
「前の日に食べ過ぎたから、翌日〇〇キロ太っちゃった」と友達に話した経験はありませんか?それは脂肪が増えたのではなく、体内に蓄積された水分量が増えただけです。大前提として知っていただきたいのが、人は簡単に痩せられないが、太るのも簡単ではないということです。仮に1kgの脂肪を増やそうとしたら、約7200kcalが必要だと言われています。つまり最低でも1日で約7200kcalも余剰に摂らなければ、翌朝に1kgの脂肪が増えていることはないのです。
逆に1kgの脂肪を減らそうと思ったら、7200kcal以上のマイナスを作らないといけないのです。もちろん体の構造上、数値のみで判断できるほど単純ではないですが、日々の体重の変動のほとんどが水分量の増減だと思っていただいて構いません。美しく痩せるためには、摂取カロリーをコントロールして毎日の積み重ねで少しづつ脂肪を落としていくのが正しいやり方です。
毎朝の体重の変化に一喜一憂するのではなく、鏡で自分の姿をチェックすることに意識を向けてみてください。小さな変化を見つけていくのが続けていくコツです。
ー ダイエットを続ける秘訣は、食事のバリエーションを作ること
正しい食事の知識を勉強し、自分の行うダイエット方法では【何を積極的に摂って、何を控えるべきか】食材の取捨選択をしてみてください。
食材の取捨選択が出来るようになれば、自炊のバリエーションも増えますし、外食も可能です。またお酒を楽しむこともできますよ。
正しい食事方法を知ることで、ダイエット中でも食べる行為は怖くありません。むしろ極端に食事を我慢したり過度な運動を続けることによってストレスをためる行為の方が、ダイエットには天敵です。ぜひ正しいダイエットを行い、キレイに痩せる方法を身につけてもらえると嬉しいです。
*本記事の内容はすべて筆者個人の知識と経験に基づくものです。